2025年12月11日(現地時間)、半導体大手ブロードコム(AVGO)が2025会計年度第4四半期(8-10月期)の決算を発表しました。
数字だけを見れば、売上・利益ともに市場予想を上回る「好決算」でした。
しかし、発表後の時間外取引や翌日の市場で株価は大きく下落する展開となりました。
「なぜ好決算なのに下がったのか?」「この下落は拾うべきチャンスなのか?」
今回は、ブロードコムの決算内容を振り返りつつ、急落の背景にある懸念点と、今後の投資判断について解説します。
1. 2025年Q4決算のハイライト:AI需要は依然として爆発的
まずは、今回の決算の主要な数字を確認しましょう。市場の期待を超える力強い内容でした。
売上高: 180.2億ドル(前年同期比 +28%)
- 予想:174.5億ドルをクリア
調整後EPS(1株当たり利益): 1.95ドル(前年同期比 +37%)
- 予想:1.87ドルをクリア
AI収益: 65億ドル(前年同期比 +74%)
2026年Q1売上ガイダンス: 約191億ドル
- 予想:183.1億ドルを大きく上回る
ここが凄い!
特に注目すべきはAI関連の売上です。前年比74%増と驚異的な成長を見せており、AI半導体(カスタムチップやネットワーキング)への需要が全く衰えていないことを証明しました。
また、15年連続となる10%の増配(四半期配当0.65ドルへ)も発表され、株主還元への意欲も健在です。
2. なぜ株価は下がったのか? 3つの懸念点
これだけの好材料がありながら、なぜ株価はネガティブに反応したのでしょうか?
主な要因は以下の3点に集約されます。
① 利益率(マージン)の低下懸念
投資家が最も嫌気したのは「利益率の低下」です。
AI関連製品(特にカスタムチップ)は売上が急拡大しているものの、従来のソフトウェア事業などに比べて利益率が低い傾向にあります。
会社側が示したガイダンスでは、AI製品の売上構成比が高まるにつれ、全体の粗利益率(グロスマージン)が短期的に圧迫される見通しが示されました。
「売上は伸びるが、稼ぐ効率は少し落ちる」という点が懸念されたのです。
② 「OpenAI」案件の収益化遅れ
カンファレンスコールの中で、CEOのホック・タン氏がOpenAIとのカスタムチップ開発について言及しましたが、その収益貢献が本格化するのは2026年度ではなく、2027年度以降になる可能性を示唆しました。
市場の一部は「もっと早く数字に乗ってくる」と期待していたため、このタイムラグが失望売りを誘いました。
③ 期待値の高さと「事実売り」
ブロードコムの株価は年初来で70%以上も上昇しており、決算に向けて投資家の期待値(ハードル)は極限まで上がっていました。
今回発表されたAI製品の受注残(バックログ)は730億ドルと巨額ですが、一部の強気な投資家が期待していた「ウィスパーナンバー(噂される高い予想値)」には届かなかったと受け止められました。
結果として、好材料出尽くしによる利益確定売りが出た形です。
3. 下がったところは「買い」なのか?
結論から言うと、中長期的な視点を持つ投資家にとっては「絶好の押し目買いチャンス」である可能性が高いです。
買いを支持する理由
- AIストーリーは崩れていない:
今回、新たに「Anthropic(アンソロピック)」との数十億ドル規模の契約も明らかになりました。Google、Meta、ByteDanceに加え、顧客基盤は着実に拡大しています。AIインフラへの投資競争は続いており、ブロードコムはその中心にいます。 - 配当成長株としての魅力:
株価下落により、配当利回りの魅力が相対的に増しています。15年連続の増配記録と、潤沢なフリーキャッシュフロー(売上の41%!)は、長期保有における強力な安心材料です。 - マージン低下は「成長痛」:
利益率の低下は、巨大なAI市場のシェアを取りに行くための一時的なコストとも言えます。絶対額としての利益(EPS)は37%もしっかり伸びており、ビジネスモデルが崩壊したわけではありません。
まとめ:冷静に拾う局面か
今回の下落は、ファンダメンタルズ(業績の基礎)の悪化ではなく、「期待値の調整」と「マージンへの懸念」によるものです。
短期的には株価が不安定になる可能性がありますが、AI半導体のトップランナーとしての地位や、強力なキャッシュフロー創出力に変わりはありません。
「次の成長」に向けてしゃがみ込んだこのタイミングは、長期投資家にとっては報われるエントリーポイントになるかもしれません。
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