AI相場の中心にいる絶対王者、NVIDIA(エヌビディア)。
決算のたびに予想を上回る凄まじい売上を叩き出していますが、一部の投資家の間で、ある「不穏な噂」が消えないことをご存知でしょうか。
それが「循環取引(Round-tripping)」疑惑です。
「NVIDIAは、自ら出資した会社にGPUを買わせることで、売上を水増ししているのではないか?」
「GPUを担保にお金を借りて、さらにGPUを買うという危険なマネーゲームが行われているのではないか?」
もしこれが事実なら、現在のAIバブルは砂上の楼閣です。
今回は、市場が密かに懸念しているこの「循環取引」の仕組みと、私たちが警戒すべきポイントについて解説します。
1. 噂されている「循環取引」の仕組み
この疑惑の中心にいるのが、「CoreWeave(コアウィーブ)」などの新興AIクラウド企業(ネオクラウド)です。
CoreWeaveはもともと仮想通貨マイニングの会社でしたが、現在はNVIDIAのGPUを大量に買い込み、それをAI開発企業に貸し出すビジネスをしています。
ここで指摘されている「循環」のフローは以下の通りです。
【疑惑のマネーフロー】
- NVIDIAが出資:NVIDIAがCoreWeave等の新興企業に投資(出資)をする。
- GPUを購入:出資を受けた新興企業は、そのお金でNVIDIAからGPU(H100等)を購入する。
- 売上計上:NVIDIAには「売上」が立ち、業績が良く見える。
- 担保融資(レバレッジ):新興企業は買ったGPUを「担保」にして銀行から巨額の融資を受け、さらにGPUを追加購入する。
つまり、「NVIDIAが出したお金が、GPUの購入代金としてNVIDIAに戻ってきているだけではないか?」というのが循環取引(還流)の懸念です。
これだと、実需(本当の需要)がなくても売上を作れてしまうからです。
2. 現状と問題点:なぜ危険なのか?
企業が取引先に投資すること自体は違法ではありません(ベンダーファイナンス)。
しかし、このスキームが過熱すると、以下の2つの大きなリスクが生じます。
リスク①:「見せかけの需要」の崩壊
もし、最終的なAIサービスの需要(ChatGPTなどの利用料)が追いつかなかった場合、新興クラウド企業は借金を返せなくなります。
彼らが破綻すれば、担保になっていた大量のGPUが中古市場に放出され、GPU価格が大暴落し、NVIDIAのブランドも毀損します。
リスク②:バリュエーションの正当性
NVIDIAの株価は「爆発的な売上成長」を前提に高いPER(株価収益率)で買われています。
もし売上の一部が「自分の財布から出したお金」で作られたものなら、今の株価は正当化できません。
3. 懸念は解消されるのか?(yuyuの視点)
では、これでNVIDIAは終わるのでしょうか?
私は、「リスクはあるが、現時点で過度なパニックになる必要はない」と考えています。
理由①:MicrosoftとMetaが「真の買い手」
循環取引が疑われる新興企業への売上は、NVIDIA全体の売上のごく一部と推測されます。
実際に数兆円規模でGPUを爆買いしているのは、マイクロソフト、Meta、Amazon、Googleといった、キャッシュリッチな超巨大企業(ハイパースケーラー)です。
彼らの購入資金はNVIDIAからの出資ではなく、本業の利益から出ています。
理由②:監査法人の目
NVIDIAのような世界的な注目企業は、監査法人やSEC(米証券取引委員会)から厳しい監視を受けています。
かつてのエンロン事件のような単純な粉飾決算を行うことは、今の監視体制では極めて困難です。
4. まとめ:注視すべきは「GPUの稼働率」
循環取引の噂は、「AIバブル崩壊」を期待する空売り勢のポジショントークの側面もあります。
しかし、火のない所に煙は立ちません。
この懸念が完全に解消されるには、CoreWeaveなどの新興企業が、「買ったGPUをフル稼働させて、黒字化(自力で借金返済)できること」が証明されなければなりません。
私たち投資家ができる対策は一つ。
NVIDIA一本足打法にならず、S&P500やVTIなどのインデックスをコアに据えつつ、AI銘柄は「リスク許容度の範囲内」で楽しむことです。
「需要が本物か、作られたものか」。
2026年に向けて、真価が問われるフェーズに入っています。
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