AIチップ市場をけん引するNVIDIAが2025年第3四半期(Q3)決算を発表しました。
売上・利益ともに記録的な伸びを見せましたが、株価は発表直後に一時的な下落。
この記事では、「好決算でも売られた理由」と、貸借対照表(B/S)から見える在庫増加の懸念を深掘りします。
NVIDIA Q3の決算概要
- 売上高:570億ドル(前年同期比+62%)
- データセンター収益:512億ドル(前年比+66%)
- 粗利益率(GAAP):73.4%
- 次期ガイダンス:売上650億ドルを見込む
数値上は過去最高水準ですが、株価は「織り込み済み」「在庫の積み上がり」などへの懸念から反落しました。
好決算でも売られた3つの理由
① 成長率の鈍化
前年比では高成長ですが、成長スピード自体は過去の爆発的ペースより緩やか。
投資家の多くは「AI特需のピークが近いのでは」と警戒しています。
② 在庫の増加とチャネルの積み上がり
在庫金額が大幅に増え、在庫回転日数も上昇。
在庫が過剰になれば、今後の売上に影響する可能性があります。
③ バリュエーションの高さ
高い成長率が既に株価に織り込まれており、少しの不安材料でも売りが出やすい状況でした。
在庫推移から見える懸念点
NVIDIAのB/S(貸借対照表)から特に注目されたのが在庫の増加です。
- 在庫:19.78億ドル(前期比+32%)
- 在庫回転日数:119日(前期106日 → 今期119日)
- 供給契約(Supply Commitments):+63%(QoQ)
在庫回転日数が上昇しているのは、出荷までに時間がかかっているサイン。
供給過多、または需要の鈍化を警戒する投資家も増えています。
▼ NVIDIA 在庫推移(2024〜2025)

青線=在庫金額(十億ドル) 赤線=在庫回転日数
グラフを見ると、2024年後半から在庫が急増しており、在庫回転日数も上昇傾向にあります。
これはAIサーバー需要の前倒しや、データセンター向けGPU出荷の積み上げが背景とみられます。
貸借対照表から読み取れるリスク
- 在庫の増加 → 供給過多・出荷遅延リスク
- 売掛金の増加 → 販売後の回収タイムラグ
- 現金同等物の増加 → 投資余力はあるがキャッシュ化ペースも注視
これらは一見ポジティブに見える一方で、景気後退期に入れば在庫圧縮が企業利益を押し下げるリスクもあります。
投資家が注目すべきポイント
- 在庫と出荷バランスを四半期ごとにチェック
- 受注残(Backlog)の推移を確認し、出荷サイクルを把握
- 在庫増加が「戦略的積み増し」か「需給緩み」かを見極める
まとめ|好調の裏に潜む“在庫の影”
NVIDIAのQ3決算は間違いなく強力でした。
しかし、B/Sの在庫・回転日数を見れば、今後の供給調整リスクを市場が警戒しているのも事実です。
投資家は「業績の良さ」だけでなく、在庫・キャッシュフローの質にも目を向けるべきタイミングに来ています。
免責事項
