「アメリカの投資家は、結局何を買っているの?」
数千種類以上の投資信託(ETF含む)が存在する米国市場。しかし、資金の流れ(フロー)を見ると、勝者と敗者は驚くほど残酷に分かれています。
結論から言うと、今の米国市場は「超・低コストのインデックス一強」であり、「高コストのアクティブファンドやテーマ型」は徹底的に嫌われています。
今回は、米国のリアルな人気事情を、日本の投資家にも馴染みのある銘柄に例えてわかりやすく解説します。
1. 全米で一番買われている「絶対王者」
米国で最も資金を集め続けているのは、S&P500や全米株式に連動する「超低コストETF」です。
王者:Vanguard S&P 500 ETF (VOO)
もはや説明不要の怪物ファンドです。バンガード社が運用する、S&P500指数に連動するETF。
人気の理由はシンプルで、「経費率(信託報酬)が0.03%」という驚異的な安さにあります。
「市場平均を取り、コストを極限まで下げる」ことが最適解だと、米国の個人投資家は結論づけています。
日本で買える銘柄に例えると?
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
まさにこれです。「業界最低水準の運用コストを目指す」という理念も、人気が集中する構造も、米国のVOOと全く同じです。
「迷ったらこれ買っとけ」という立ち位置も共通しています。
2. 今、米国で「嫌われている(避けられている)」投信の特徴
一方で、かつては人気があったものの、現在は資金流出(解約)が止まらないファンドには、明確な特徴があります。
特徴①:手数料が高い「アクティブファンド」
「プロが厳選した銘柄で市場平均に勝つ!」と謳うアクティブファンドですが、米国では「9割のアクティブファンドはインデックスに負ける」というデータが常識化しています。
そのため、経費率が0.7%〜1.0%を超えるようなファンドは、「情弱(情報弱者)向けのぼったくり商品」として見向きもされなくなっています。
日本の銘柄に例えると?
「銀行の窓口ですすめられる投資信託」
購入時手数料が3%かかり、信託報酬も1.5%など高い商品。「プロにお任せ」という甘い言葉で販売されますが、手数料負けする構造は日米共通の「嫌われ要素」です。
特徴②:流行り廃りの激しい「テーマ型ファンド」
特定の流行り(テーマ)に投資するファンドです。代表例は、キャシー・ウッド氏率いる「ARK(アーク)」シリーズ。
コロナ禍では爆発的なリターンを出して熱狂的に買われましたが、その後の金利上昇局面で大暴落。多くの投資家が高値掴みで損をしたため、現在は「ボラティリティ(変動)が高すぎて危険」と敬遠され、資金流出が続いています。
また、最近では政治的な対立から「ESGファンド(環境・社会重視)」も、パフォーマンス不足を理由に嫌われる傾向にあります。
日本の銘柄に例えると?
「AI・ロボティクス関連ファンド」や「グローバル5G通信ファンド」
ランキング上位に一瞬顔を出すものの、ブームが去ると基準価額が半値になり、誰も話題にしなくなるタイプの商品。これらも「旬が過ぎると避けられる」典型です。
3. 結論:米国人は「地味」を選び始めた
かつての米国市場は、ヘッジファンドやスター投資家が注目されていました。しかし現在の主流は、「退屈なインデックス投資(パッシブ運用)」への回帰です。
| 買われるファンド (Winner) | 嫌われるファンド (Loser) | |
|---|---|---|
| 特徴 | 市場全体に投資 超低コスト | 特定のテーマ・プロ選定 高コスト |
| 代表例 | S&P500, 全米株式 | 高手数料アクティブ, テーマ型 |
| 日本で言うと | eMAXIS Slim | 窓口販売商品, 流行りもの |
日本で新NISAが始まり、eMAXIS Slim(オルカンやS&P500)に資金が集中しているのは、決して日本独自の現象ではありません。
「コストこそが確実にリターンを蝕む敵である」という事実に、日米の投資家が同時に気づき、賢い選択をし始めた証拠なのです。
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