S&P500とオルカン、結局どっちが最適解か。今後10年のリスクとリターンを検証

過去10年 ▲S&P500 年率約13〜15%、オルカン 年率約10〜12% 2025年(ドル建て) ▼オルカンがS&P500を逆転して上回る ゴールドマン ▲今後10年予想:新興国+10.9%、日本+8.2%、欧州+7.1%、米国+6.5% GMO ▼伝統的60/40ポートフォリオは「失われた10年」になり得ると警告 過去10年 ▲S&P500 年率約13〜15%、オルカン 年率約10〜12% 2025年(ドル建て) ▼オルカンがS&P500を逆転して上回る ゴールドマン ▲今後10年予想:新興国+10.9%、日本+8.2%、欧州+7.1%、米国+6.5%

インデックス投資の最適解を考える

S&P500かオルカンか。
結局、最適解はどっちか

過去のリスク・リターンを振り返りながら、今後10年の予想リターンをアナリストのデータで検証します。バリュエーションの差が示す「逆転」の可能性にも注目します。

過去の実績

過去10年は、S&P500の独走だった

直近10年間で見ると、S&P500がオルカンを上回ってきたのは事実です。

過去10年・年率リターン S&P500 約13〜15% GAFAMやエヌビディアなど米国メガテック企業の成長が牽引。
過去10年・年率リターン オルカン 約10〜12% 米国が約6割を占めるが、相対的に出遅れた地域も含むため、純粋な利回りではやや劣後。
リスク(標準偏差) S&P500 約16〜20% オルカンは約14〜18%とやや低め。集中投資の分、値動きが大きくなりやすい。

ただし、2025年は様相が変わりました。ドル建てで見ると、その年はオルカンがS&P500を上回って推移しています。背景には、欧州の財政拡張期待、日本株の再評価(株主還元強化・インフレ転換)、中国のAI関連企業の成長期待、アジアのAI半導体需要拡大があります。実際に、円建ての投資信託でも、2026年1月末時点の直近1年リターンはオルカンが+21.02%、S&P500が+14.31%と、オルカンが上回りました。「S&P500は高リターン・オルカンは安定」という単純な図式が、直近では崩れていたことになります。

今後10年

バリュエーションが示す「逆転」の可能性

過去の実績がそのまま続くとは限りません。今後10年に目を向けると、複数の金融機関が米国株の相対的な伸び悩みを予想しています。

ゴールドマン・サックス 米国 年率6.5% 今後10年の予想年率リターン。新興国10.9%、日本8.2%、欧州7.1%と、米国以外の方が高い予想。
GMO 「失われた10年」を警告 伝統的な60/40ポートフォリオ(米国株中心)は、今後10年ほぼゼロに近いリターンになりかねないと指摘。
野村証券 PER 22〜23倍 S&P500の12ヶ月先予想PERは過去平均より高く、徐々に20倍前後へ収束すると想定。

この予想の背景にあるのは、「出発点の株価評価(バリュエーション)が高いほど、その後のリターンは抑えられやすい」という経験則です。米国株は過去10年の好調により評価が割高になっており、その分、今後の上昇余地が他地域より小さくなりやすい、という考え方です。オルカンの場合、米国(約64.5%)に新興国・日本・欧州などを組み合わせた構成のため、ゴールドマンの地域別予想とACWIのおおよその構成比率を使って単純計算すると、今後10年の予想年率リターンはおおむね7%程度と見積もられ、米国単独の6.5%をわずかに上回る計算になります。

一目でわかる比較

過去10年と、今後10年予想を並べてみる

年率リターン:過去10年の実績 vs 今後10年の予想(ゴールドマン・サックスの地域別予想等をもとに作成)

過去10年(実績)
約14%
約11%
S&P500 オルカン
今後10年(予想)
6.5%
約7%
S&P500 オルカン
S&P500 オルカン

「今後10年」はゴールドマン・サックスの地域別予想とACWIの構成比からの概算値。実際のリターンを保証するものではありません。

過去10年は明確にS&P500が優位でしたが、今後10年の予想では、わずかながらオルカンが上回る計算になります。これは「米国株が劣化する」という予想ではなく、「すでに高く評価された資産は、これ以上の急成長を続けにくい」という、バリュエーションの巻き戻りに関する一般的な考え方に基づくものです。

その他の違い

為替・コスト・米国集中度

  • 為替リスクどちらも為替ヘッジなしが主流で、円高が進めば円換算リターンは両方とも目減りします。ただしオルカンは米ドル以外の通貨も含むため、米ドル一辺倒のS&P500よりはわずかに分散されています。
  • コストeMAXIS Slimシリーズで比較すると、S&P500が信託報酬0.09372%、オルカンが0.05775%前後と、どちらも業界最安級でほぼ無視できる差です。
  • 米国集中度オルカンも構成比の約64.5%を米国株が占めており、両者の値動きの相関は非常に高くなります。「オルカンを買えば米国リスクを避けられる」というのは誤解で、あくまで「米国一本足」よりは多少分散されている、という程度の違いです。
  • 両方を持つ意味S&P500とオルカンを同時に保有しても、構成銘柄の重複が大きいため、リスク分散の効果は限定的です。分散効果を高めたいなら、債券やREIT、金など値動きの異なる資産を組み合わせる方が効果的です。

結論

結局、最適解はどっちか

過去の勝者が、これからも勝者であり続けるとは限らない。それが「バリュエーション」という考え方の核心である。

S&P500が向いている人

  • 米国企業のイノベーション・収益力が今後も世界を牽引すると考えている
  • 過去の実績の延長線上で、より高いリターンの可能性に賭けたい
  • 値動きの大きさ(リスク)を、長期保有で乗り越えられる自信がある

オルカンが向いている人

  • 「どの国が次に伸びるか分からない」という前提に立ち、自動的に分散させたい
  • 米国株のバリュエーションの高さを踏まえ、相対的なリスクを抑えたい
  • 銘柄選択や地域配分について、自分で判断する手間を減らしたい

過去10年の実績だけを見ればS&P500が優位ですが、今後10年の予想という観点では、複数の金融機関がバリュエーションの差を理由に、米国以外の地域も含めたオルカンに優位性があるとみています。ただし、これらはあくまで予想であり、AIによる生産性向上が米国企業の優位性をさらに拡大させる可能性も十分にあります。「どちらが正解か」を決め打つのではなく、自分がどちらの前提に説得力を感じるか、そしてどちらの値動きなら長く続けられるかを基準に選ぶことが、現実的な最適解と言えます。

まとめ

「最適解」は、前提への納得度で決まる

S&P500とオルカンは、どちらも極めて低コストで、長期投資の有力な選択肢です。過去10年はS&P500が優位でしたが、2025年には早くも逆転が見られ、今後10年の予想でも複数の金融機関がバリュエーションを理由にオルカン側にやや優位性があるとみています。とはいえ、これらはあくまで予想であり、確定した未来ではありません。どちらを選ぶにしても、自分がその前提にどれだけ納得し、長期にわたって保有し続けられるかが、最終的な成果を左右する最も重要な要素です。

本記事は一般的な情報提供・教育目的の内容であり、特定の銘柄・ファンドの購入・売却を推奨するものではありません。記載のデータ(過去のリターン・リスク・将来予想等)は執筆時点(2026年6月)の各社公開情報・報道等に基づくものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。投資にあたっては最新の情報を確認の上、必要に応じて金融の専門家にもご相談ください。

インデックス投資の最適解を考えるシリーズ

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