投資信託 vs ETF:10年間のリターンを比較して、買い続けるならどっち?
長期的に資産を増やすために、定期的に「買い続ける」運用方法として、
投資信託とETF(上場投資信託)は非常に人気のある選択肢です。
では、10年間のリターンを比較した場合、どちらが良いのでしょうか?
今回は、それぞれの特徴と、過去10年間のリターンに基づいて検討します。
1. 投資信託とETFの違い
まず、投資信託とETFにはそれぞれ異なる特徴があります。
投資信託
- 専門家が運用を行うため、初心者でも始めやすい。
- 定額積立がしやすい仕組み(毎月一定額で買い続けるなど)。
- 手数料(信託報酬)が比較的高めな場合が多い。
- 市場の開場時間に関わらず一日一回の価格(基準価額)で取引が行われる。
ETF(上場投資信託)
- 株式のように市場で売買できるため、リアルタイムの取引が可能。
- 手数料が低く、長期的にはコストを抑えやすい。
- 少額投資が難しい場合があり、証券会社によっては単元株数が必要。
- インデックス連動型が多く、個別株のように分散投資が可能。
2. 10年間のリターンを検討するポイント
次に、10年間の投資でどのようなリターンが期待できるかを検討します。
具体的な数値は市場や経済状況により異なりますが、以下の一般的な例を使って比較します。
投資信託の例:アクティブ型 vs インデックス型
- アクティブ型の投資信託は、プロの運用者が市場を上回るリターンを狙うタイプですが、その結果は千差万別です。成功するアクティブファンドもありますが、多くのアクティブファンドは市場の平均リターンを下回ることもあります。過去のデータでは、アクティブファンドの平均リターンは年率4〜6%が多いです。
- 一方、インデックス型の投資信託は、特定の指数に連動する形で運用され、手数料が比較的低いのが特徴です。S&P500に連動するインデックスファンドの場合、過去10年間の平均リターンは年率8〜10%とされています。
ETFの例:S&P500連動ETF vs 新興国ETF
- S&P500に連動するETFは、投資信託と同様に市場全体に投資するものです。過去10年間のリターンはインデックスファンドと同様に年率8〜10%で推移しています。
- 新興国市場に連動するETFでは、成長率が高い反面、リスクも高いためリターンは変動しますが、過去10年間の平均リターンは年率5〜7%程度となっています。
3. 手数料の違いがリターンに与える影響
リターンの大きさだけでなく、手数料の差も考慮する必要があります。
投資信託とETFでは、長期的に手数料の違いが資産形成に大きな影響を与えます。
投資信託の手数料
- 信託報酬(運用管理費)は、アクティブ型では年1〜2%が一般的で、インデックス型でも0.1〜0.5%程度のコストがかかります。
- 例えば、年率2%の信託報酬がかかるアクティブファンドの場合、10年間で運用額の約20%が手数料として引かれます。これがリターンを大きく削減する可能性があります。
ETFの手数料
- ETFは手数料が非常に低く、特にインデックス連動型ETFでは0.03〜0.1%程度に抑えられます。これにより、長期的には手数料の負担が軽減され、リターンが高まる可能性があります。
4. 10年間のシミュレーション例
仮に、毎月3万円を10年間積み立てた場合のシミュレーションを以下に示します。
インデックス型投資信託(手数料0.3%、年率8%)
- 10年間の総投資額:360万円
- 最終評価額:約562万円
- 手数料として支払う金額:約13万円
S&P500連動型ETF(手数料0.05%、年率8%)
- 10年間の総投資額:360万円
- 最終評価額:約568万円
- 手数料として支払う金額:約2万円
このシミュレーションでは、手数料の違いが最終的なリターンに影響を与えることがわかります。
5. 投資信託とETFの選択肢まとめ
10年リターンを比較した場合、手数料が低いETFは、長期的に見て効率的な資産形成ができる可能性があります。
しかし、投資信託も手軽に積立投資ができるため、初心者にとっては始めやすい選択肢です。
- 手数料を抑えつつ市場に連動したい場合:ETF
- プロの運用に任せたい、定額積立を気軽に行いたい場合:投資信託
結論
長期的な資産形成を目指すなら、10年間のリターンと手数料を考慮して、ETFが有利な選択肢と言えます。
ただし、投資初心者や少額投資から始めたい人には、投資信託も適した方法です。
自分の投資スタイルやリスク許容度に合わせて選択することが大切です。
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