SKハイニックス、サムスンを時価総額で逆転。HBM覇権の実態を徹底分析

6/22 ▲SKハイニックスの時価総額がサムスン電子を逆転、25年半ぶりの王座交代 2026年Q1 ▲売上高+198%、営業利益+405%、営業利益率72%(NVIDIAの65%を上回る) HBM市場シェア ▲58%で世界首位(サムスン・マイクロンは各21%) 6/23 ▼韓国市場でサーキットブレーカー発動、SKハイニックス・サムスンが12%急落 米国上場 ▲早ければ8月にもNasdaq ADR上場の可能性 6/22 ▲SKハイニックスの時価総額がサムスン電子を逆転、25年半ぶりの王座交代 2026年Q1 ▲売上高+198%、営業利益+405%、営業利益率72%(NVIDIAの65%を上回る)

SKハイニックスを徹底分析・2026年6月

SKハイニックス、
サムスンを逆転した日

韓国の時価総額ランキングで25年半ぶりの王座交代。HBM市場で58%のシェアを握るSKハイニックスの実態と、サムスンの追撃というリスクまでを整理します。

何が起きたか

25年半ぶりの王座交代

2026年6月22日、SKハイニックスの時価総額がサムスン電子を上回り、韓国総合株価指数(KOSPI)で初めて首位に立ちました。

歴史的な意味 25年半ぶり サムスン電子は2000年11月にSKテレコムを抜いて以来、一度も時価総額1位を譲ったことがなかった。
この日の株価 +6.5%、上場来高値294万5,000ウォン 時価総額は2,082兆ウォンを突破。
年初来パフォーマンス +300%超 過去1年では+800%超。AI需要を背景にした上昇は、もはや「急騰」という言葉では足りない規模になっている。

サムスン電子は携帯電話・半導体・家電を手がける総合電機メーカーですが、SKハイニックスはメモリー半導体の専業メーカーです。AIブームの中で、より純粋にメモリー需要の恩恵を受けられる事業構造が、評価の逆転につながりました。

決算

NVIDIAを上回る利益率

2026年4月に発表された第1四半期決算は、半導体業界でも記録的な内容でした。

売上高 52兆5,800億ウォン 前年同期比+198%、前四半期比+60%。
営業利益 37兆6,100億ウォン 前年同期比+405%、前四半期比+96%。
営業利益率 72% 同時期のNVIDIAの65%を上回る、半導体業界でも異例の高水準。

増益の要因は、DRAM・NANDの価格上昇に加え、AIデータセンター向けHBMや大容量サーバー用DRAM、エンタープライズ向けSSDといった高付加価値製品の比率向上です。市場では第2四半期の営業利益を60兆〜70兆ウォンと予想しており、一部証券会社はすでに68兆ウォン以上への上方修正を行っています。財務面でも、四半期末時点で54兆3,000億ウォンの現金等・35兆ウォンのネットキャッシュを保有し、拡大投資を続けながらも健全性を維持しています。

市場での地位

HBM市場で58%のシェアを握る

SKハイニックスは現在、NVIDIAのHBM注文の約70%を占めており、2026年にはNVIDIAのHBM4総調達量の50%超を占める見通しです。6月8日にはNVIDIAと複数年の共同研究開発パートナーシップを発表し、ジェンスン・フアンCEOから「最大のメモリーパートナー」と評されました。6月18日には次世代品「HBM4E」(12層積層、16Gbpsのピン転送速度、前世代比+20%以上のエネルギー効率)の量産前サンプルを主要顧客に供給開始。マイクロソフトのAIチップ「Maia 200」向けHBM3Eサプライヤーにも採用されるなど、顧客の多角化も進んでいます。

注目点

米国上場が迫る、バリュエーションの「謎」

SKハイニックスの現在の予想PERはわずか8倍程度であり、米国の半導体同業他社を下回っている。 — 株式情報メディアの分析より

営業利益率72%という記録的な収益力にもかかわらず、SKハイニックスの予想PERは8倍程度と、米国の主要半導体株(NVIDIAやマイクロンなど)と比べてかなり低い水準にとどまっています。背景には、韓国市場固有の「コリア・ディスカウント」(ガバナンス・流動性等を理由に韓国株が割安に評価される傾向)があるとされています。同社は早ければ2026年8月にもNasdaqへのADR(米国預託証券)上場を計画しており、米SECは申請を近く承認する見通しと報じられています。米国上場後は、グローバルなAI半導体企業としての評価基準に評価が収れんしていく(割安感が解消される)可能性がある、という見方が出ています。大和証券は目標株価を167万ウォンから360万ウォンへ大幅に引き上げ、CLSAも「確信度の高いアウトパフォーム」を再確認するなど、強気の評価が相次いでいます。

リスク

サムスンの追撃という、最大の変数

  • サムスンの進捗サムスン電子は2026年2月にHBM4の量産を開始し、5月29日には12層HBM4Eサンプルの初回分を出荷。6月5日にはNVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、サムスン・SKハイニックス・マイクロンの3社すべてが品質検証に合格し、Vera Rubin向けHBM4の生産を開始したと公表しました。
  • 技術力の差サムスンのHBM4全体の歩留まりは60%を下回っているとされ、SKハイニックスの1c DRAMの歩留まり(約80%)にはまだ及びません。一方でサムスンはHBM4ロジックダイのファウンドリ価格を40〜50%引き上げており、技術的な進歩を示唆しています。
  • シェア低下シナリオもしサムスンが2026年後半にHBM4の量産を本格化させれば、SKハイニックスの市場シェアは50〜60%程度まで低下する可能性があると指摘されています。
  • 需給逼迫の緩和リスクAI向け設備投資の減速や、AIソフトウェアの効率化によるメモリー需要そのものの抑制が、2026年後半以降のリスク要因として挙げられています。

もう一つ、現実のリスクとして表面化したのが、6月23日の急落です。韓国市場では1日に2度のサーキットブレーカーが発動し、SKハイニックス・サムスン電子はともに12%急落、キオクシアも15%超下落しました(マイクロンが同時期に米国市場で急落した一因でもあります)。記録的な決算と歴史的な株価上昇の裏側で、急激な巻き戻しが起きやすい銘柄であることも、合わせて理解しておく必要があります。

視点

投資家として見るべきポイント

強気の見方

  • HBM市場で58%のシェアを握り、NVIDIAから「最大のメモリーパートナー」と評される関係性
  • 予想PER8倍程度という、利益水準に対して見れば米国同業他社より低いバリュエーション
  • 米国ADR上場により、グローバルな評価基準への収れん(再評価)が期待される
  • 54兆ウォン超の現金を保有し、拡大投資をしながらも財務的な余力がある

慎重な見方

  • サムスンの技術的な追撃が進んでおり、2026年後半のシェア低下シナリオが現実的に意識されている
  • メモリー市場は歴史的に変動の大きい循環業種で、現在の高収益が今後も続くとは限らない
  • 6月23日の急落が示す通り、短期的な巻き戻しリスクが大きい
  • 米国上場後は、マイクロン等との直接比較を通じて評価が下がる可能性もある

SKハイニックスの物語は、「AIメモリーの王者がどこまで上昇を続けられるか」という問いに尽きます。営業利益率72%という数字は、需給が逼迫している今だからこそ実現できている水準であり、サムスンの追撃やメモリーサイクルの反転が、この水準をいつまで維持できるかを左右します。

まとめ

王座は、防衛できるか

SKハイニックスは、HBM市場での圧倒的なシェアと記録的な収益力を背景に、サムスン電子を時価総額で逆転するという、25年半ぶりの歴史的な出来事を起こしました。米国上場という新たな評価機会も控えており、当面の話題性は続きそうです。一方で、サムスンの技術的な追撃、メモリー市場特有の循環性、そして6月23日に見られたような急激な巻き戻しリスクは、いずれも軽視できない材料です。「王者」という評価が、来年も同じ意味を持つかどうかは、まだ分かりません。

本記事は一般的な情報提供を目的とした分析・整理であり、将来の株価動向を保証するものではなく、特定の投資判断を推奨するものでもありません。記載のデータは執筆時点(2026年6月25日前後)の報道・証券会社レポート等に基づくものであり、その後の決算発表や市況により変わる可能性があります。投資にあたっては最新の情報を確認の上、必要に応じて金融の専門家にもご相談ください。

SKハイニックスを徹底分析するシリーズ 2026年6月

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